作品解説
監督 ケイト・ショートランド
脚本 エリック・ピアソン
原作 スタン・リー
公開 2021年7月8日
上映時間 133分
あらすじ
「アベンジャーズ/エンドゲーム」のマーベル・スタジオ最新作。孤独な暗殺者ブラック・ウィドウはなぜ、アベンジャーズになったのか―― ブラック・ウィドウの前に突如現れた“妹”エレーナ。姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織レッドルームの秘密を知ったことで命を狙われる。唯一の味方は、かつて組織が生み出した“偽りの家族”だけ。だが、この家族の再会によって、レッドルームの恐るべき陰謀が動きだす!ブラック・ウィドウの作られた過去との戦いが、世界の命運を握る。
filmarks映画より引用
キャスト
- ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウ スカーレット・ヨハンソン
- エレーナ・ベロワ / ブラック・ウィドウ フローレンス・ピュー
- アレクセイ・ショスタコフ / レッド・ガーディアン デヴィッド・ハーバー
- メリーナ・ヴォストコフ / ブラック・ウィドウ レイチェル・ワイズ
- サディアス・“サンダーボルト”・ロス ウィリアム・ハート
- ドレイコフ レイ・ウィンストン
感想 解説 見どころ
長い間待ってました!
MCU(マーベルシネマティックユニバース)最新作ですよ!
長かったですねー。
前回のスパイダーマン/ファー・フロム・ホーム(FHH)公開から2年も待ちました…
コロナの影響でかなり公開が遅れてしまったみたいですね。
やっとフェイズ4の作品が映画館で観られるようになりました!
前回のFFHの終わりがだいぶ衝撃的な終わりだったので続きに繋がるものがあると期待してしまいますね!
早速レビューさせていただきます!
時系列はだいぶ前のシビルウォー後、新しい時系列に触れる事はない…
残念ながら舞台はシビルウォー直後の時系列の為、エンドゲーム後の世界について触れられることはありませんでした…
そしてアベンジャーズ崩壊直後のお話なので他の作品との絡みもほとんどありません。
ブラックウィドウ初の単体作品なのでクロスオーバー要素にはおそらく期待できないとわかってはいたんですが前情報なしで映画を見に行ったので少し期待していた分残念です…
一応構想自体はインフィニティーウォー公開前くらいからあったようなのでだいぶ前から始まっていた計画だそうです。
その為、後の作品につなげる事が難しかったのかも知れませんね。
そもそもブラックウィドウ/ナターシャというキャラ自体、性質上色々なMCU作品に登場する為クロスオーバーしやすいキャラだったと思うんですが、やはり単体作品なのでそのキャラの掘り下げに力を入れたのでしょう。
久しぶりのMCU作品だったのでそこが強く残念でした。
しかし肝心のキャラの掘り下げも微妙…
ヒーロー映画としてのキャラの掘り下げ不足
ブラックウィドウは他のMCUキャラクター達に比べて超常的な力はなくあくまで人間的な格闘や諜報などの力を駆使して活躍していたヒーローです。
その為当初は実力や出自が謎に包まれたキャラクターでした。
しかしこのMCUと言う長大なシリーズの中ですでにだいぶキャラクターとしては掘り下げられており、単体作品では何を掘り下げるのか、掘るとこ残っているのかとちょっと心配でした。
案の定特に目新しい発見などはあまりない作品になってしまっています…
個人的な思いですが、MCU単体作品、特に一作目はその力の覚醒的な所を期待して観ています。
しかしブラックウィドウはすでに今までのシリーズで完成された実力とキャラクター像が確立されているので非常に難しい。
今までの作品でもスパイ養成所時代のブラックウィドウのシーンが多少ありましたが、今作でそれらを掘り下げてくれるのかと思いきや過去の回想は非常にあっさりとしたものになっています。
普通の人間でありながらヴィランや他のヒーローと張り合うまでの実力を身に着ける過程をもう少し丁寧に描写してほしかったですね。
テーマは家族愛?ありそうでなかった両親と姉妹
今作はMCUでは珍しい家族をテーマにした作品になっています。
家族を持たない孤独なキャラクターであるブラックウィドウであえてこのテーマを扱ったのは興味深いですね。
時系列的にシビルウォー勃発によりアベンジャーズがバラバラになった後で、ナターシャにとって家族とも言える仲間を失った所から始まり、かつて偽りながら家族だったアレクセイ達と絆を取り戻すというのが本作の大筋です。
この対比は非常にいいテーマだと思います。
家族から最も縁遠いキャラのナターシャに両親と姉妹という家庭として一般的なフォーマットにはめ込んだというのが意外性があっていいと思います。
またそれらを取り戻す事によってアベンジャーズの仲間たちを再び繋げるといった後の彼女の役割の動機付けになっています。
もちろんMCUの他作品たちも家族が重要な役割で出てくることは多々ありますが、本作のように一般家庭で両親、姉妹揃っている家庭って珍しいんですよね。
マイティソーシリーズでは一般家庭って感じじゃないですし笑
他の過程では母親があまり触れられてなく、どっちかというと父と子が多かった印象です。
姉妹がいるっていのもポイントかも。
MCUキャラの中でも特にシリアス度が高いナターシャがあえて一般的な家庭を取り戻すという所は面白い試みだと思います。
魅力ないヴィラン… ぽっと出の印象の強いキャラクター
本作のメインヴィランは少女たちを洗脳して悪用していた男、ドレイコフです。
まぁこのキャラは黒幕的な存在なので本作での描かれ方でいいでしょう。
ただ残念なのが新キャラのタスクマスター。
恐らく本編でナターシャと戦うメインのヴィランなはずなんですがあんまり印象に残らないんですよ…
一応能力としては他人の動きを完璧にコピーして様々なスタイルで戦う事ができるキャラクターという設定なんですが全然生かされていません。
盾を使ってキャプテンアメリカっぽい動きをしたりブラックパンサーっぽい爪で攻撃してきたりその他スパイダーマンやアイアンマンなどの動きも模倣しているんですが地味なんですよね…
なんかもっとテクノロジーか体術などに全振りしてくれればいんですがどちらも中途半端なんですよ。
まぁ相手がナターシャなのであまりにも超常的な力を使ってしまうと勝負にならないって所もあるんですが…
あとはもったいないなーと思ったのはレッドガーディアンこと父アレクセイですね。
せっかくソ連版キャプテンアメリカ的な面白ポジションのキャラなのに彼の出自や活躍が全く描かれていないのが残念!
まさかソ連で超人血清が作られていたなんてワクワクする設定なんですがその出自などが一切明かされないですしエピソードトークもないです。
せっかく面白そうなキャラなのにもったいないですね…
ホークアイの声が…
本作ではブタペストでの任務の回想シーンであのホークアイことクリント・バートンが登場します!
しかし残念ながら声優さんが変更になってしまいました…
元々は雨上がり決死隊の宮迫博之さんがずっと声を当てていたんですが闇営業問題などの諸事情からなのか東地宏樹さんに変更になりました…
その為映画館で観た時はクリントの登場に気づけませんでした。
ナターシャの声は米倉涼子さんで変わりなかったので余計に違和感が残りますね。
特に引退や犯罪を犯したわけではないので、映画ファンの事を考えて変更しないで欲しかったなぁと思います。
ディズニー傘下になった為か声優の変更が結構容赦ないんですよねー。
シンプソンズとかもディズニープラスでの声優変更問題でファンと揉めてますし。
私は吹替えで映画を観ることがほとんどなので声優変更は結構センシティブな話題なんですよ…
非常に残念です…
まとめ
全体的に不満の多い出来でした。
久しぶりにMCUの作品が映画館で観られるのでテンション上がってたんですが残念ながら期待が大きすぎたようです。
上記の通り、キャラの掘り下げ不足が目につきますし、近頃の映画では当たり前になりつつあるフェミニズムとポリコレを感じざる負えないストーリーも少々鼻につきます。
あんまり映画にこういう時勢的なものを入れて欲しくないんですよね。
純粋に物語を楽しみたいのに。
アクションもマーベル作品の割にはもっさりしててなんだか見ごたえもありませんでした。
ポストクレジットシーンもドラマオリジナルのキャラが出てきて映画だけを追っていた人にとってはちょっと突き放される感じがありますね。
フェーズ4最初の映画作品ですが先行きが非常に心配です。
前作、前々作が非常に良かったので余計に残念!
大本命のスパイダーマン・ノーウェイホームは期待に応えてくれるできだといいんですが…
挿入歌としてSmells Like Teen Spiritのチョイスは良かったです。
カバーもいいんですが原曲の方が良かったのではとは思いますが。
MCUと言えば70~80年代くらいまでのロックナンバーが印象的に使われてますからね。
ニルヴァーナはちょっと現代寄り。
以上レビューでした!
記念すべきフェーズ4一作目。
前作から2年余りも期間が空いてしまった為期待が少し大きすぎたか?
ポリコレ臭に耐えられても色々残念な出来。今後の作品との絡みもエレーナ以外なさそうなのであんまり観なくてもよかったかも…? 64点