Amazonより引用

作品情報

作者 徳弘正也
出版社 集英社
掲載紙 スーパージャンプ
巻数 全5巻

前回の前編「昭和不老不死伝説バンパイア」に引き続き、後編の「近未来不老不死伝説バンパイア」について記事を書いていこうと思います!

前編では衝撃のラストでしたが、その後どうなったのか?非常に気になる方が多いと思いますのでしっかり、がっつりネタバレありでご紹介していきます!前回の記事はこちら↓

【漫画】昭和不老不死伝説バンパイア 解説 感想 ネタバレありとなしどちらも。 | 画ブログ

今回は以前記事にした狂四郎2030を描いた徳弘正也先生の昭和不老不死伝説バンパイアをご紹介します!狂四郎2030の記事はこちら↓ 今回はこのサイトで初めての漫画作品の紹介です! 一応画ブログのコンセプトである良いものを紹介するという意味で今作は皆さんに良さを伝えたいという意味でぴったりです! …

あらすじ

マリアの死から10年後の2014年が舞台、4年前のマリア会による軍事クーデターにより日本はマリア会の教義を第一とする宗教国家となっていた。神の教えで国民を監視し、表向きには犯罪率も下がり出生率は上昇、食料自給率の改善などいい面もあるが実態はマリア会幹部と軍部が権力を握る軍事独裁国家だった。

昇平はマリアの死から10年、逞しく成長を遂げ、赤子だったマリアはなぜか生後すぐ8歳ほどまで急成長したが、元のマリアとは違いそこで成長が止まり、普通の人間のように歳をとっていた。
小さい頃から一緒に暮らし妹のように接し、名前も本田マリアと名乗らせ政府からの監視の目はあるものの平和に暮らしていた。マリアは段々と大人の身体になり以前のマリアの記憶と人格もある為、次第に昇平を求めるようになっていた。

ある日マリアは昇平が隠れて何かをしている事に気づきつけてみると、実は政府に命を狙われ、また昇平もマリア会に対して行動を起こしていた事知る。マリア会の中でもマリアの安全を第一に思う原理派と不完全なマリアを新たな偶像として権力を握ろうとする革新派に割れており、本田マリアを守る為、また10年前に見殺しにされた復讐もかねて原理派の一人、小谷清子の協力を得て革新派に寝返ったマリア会幹部たちを粛正していたのだった。

本田マリアは子供で妹のように接しており、バンパイアとのセックスをしなくなった昇平の超能力は日々衰えていたため常に死と隣合わせ。本田マリアはそんな昇平を助けようと行動を共にするようになり、次第に少女から女と変わり昇平も戸惑いながらも身体を重ねていくようになっていく…

感想 解説(かなりネタバレなので未読の方注意!)

前編でマリア会が計画していたクーデターは内戦になり犠牲を出しながらも成功し、新たな宗教国家として日本は変わってしまいましたね。
憲法よりも上にあるのがマリア会の教義。善人であれという教義によって犯罪は減っているようですが、未だに全政府の関係者などは強制労働や処刑拷問などディストピア感漂う嫌な世界。

狂四郎の世界のように世界大戦には至っていないですし、一応教義が存在する為ある程度軍部に対して抑えが効いており程度平和は保たれているようです。

しかし十文字篤彦(あーちゃん)というカリスマ不在の中、マリア会と軍部は原理派革新派で派閥を作り、またもや人間同士での争いの火種が起ころうとしていました。

昇平は別人のようにムキムキになりかっこよくなってますね笑
マリアはほとんど以前のマリアのようですが、どことなくまだ少女の感じが残っているようです。

第1巻30ページより引用

記憶や人格は以前のマリアのままのはずなのですが、再生能力などもなくまだ力は目覚めていないようです。前回生んだマリアがまだ生体になって4年しか経っていないのに無性生殖をおこなった為、不完全な状態で生まれてしまったのです。

その代わり少女の姿から自然に年齢を重ねる事によりマリア会や世間の目から逃れる事ができていました。

しかし実際にはマリア会からはしっかり監視されており、昇平はそれに気が付いています。
そのせいもあってか二人は交わる事ができません。
軍部革新派などは二人の情事の映像を得ることにより原理派を揺さぶろうと常に監視しています。

昇平もマリアも非常につらいでしょうね。姿は変わっても人格や記憶は変わらないのに昇平はマリアを妹のように思っているのでできない、マリアは今も変わらず昇平を求める。
なおかつ二人の安全の為に決して他人には交わる所を見られてはいけない。

マリア会の教義では淫らな男女関係を禁じているので、ある意味近親相姦にもとらえかねないのでご法度です。

そんなある日、マリアの同級生でマリア会の監視員の石黒から、昇平が裏で革新派のマリア会の幹部を暗殺していることを告げられます。
バンパイアと交わる事をやめた昇平は日々力が弱まっていくのでマリアは昇平の力になりたい為、一緒に戦う事を宣言します。

マリア会の原理派と革新派、軍部との関係は?

あーちゃん亡きマリア会はカリスマ的存在を失ったせいで本田マリアを神とする原理派と軍部の掲げるクローン技術によって作られた不完全なマリアを神として経典を改ざんし権力を握ろうとする革新派に分離していました。

原理派であり全作でも昇平と会ったことのある小谷清子は昇平に革新派の幹部の情報を流し暗殺を促します。
昇平としてはマリアを見殺しにした上に本田マリアさえも排除しようとする革新派は許せたものではありませんでした。

一人一人とマリア会幹部を暗殺していく中、監視カメラのない地下道でついに二人は交わり男女の仲になってしまいます。

実は全てこれらは革新派に仕組まれた罠だったのです!

小谷清子は実は原理派ではなく革新派の軍部首脳と繋がっていました。
そして昇平が暗殺していたマリア会の幹部たちは、実は全員原理派であり本田マリアを守ろうとする側だったのです。
騙された昇平に次々と幹部が殺された為、原理派だった幹部たちもやられる前にやらねばと反撃に出るものも出てきます。
もちろん10年前にマリアと昇平を助けに行かなかった罪をマリア本人に罰せられるのでマリア会の教義としては至極真っ当な事なのですが、しょせん人間なので保身に走ってしまうんですね。

監視の目がないと思われてた地下道にも革新派の手によって監視カメラが設置されており、二人の情事はしっかりと記録に残されていました。
次々と幹部が殺されおびえ切ったマリア会現トップ平山はついに白旗を挙げ、軍部革新派トップ阿南将軍に助けを求めます。もちろん、軍部原理派の革新派への改宗の条件も飲み原理派の完全降伏です。

謎の守護者、影山隆とは?

ある日マリアの学校に突如転校生、影山隆が現れます。
マリアを常に意識しているようで只者ではない様子。
そして監視役だったマリアの同級生の石黒を殺した事をマリアに伝え、何者かは言えないがマリアを守るために使わされたものですとだけ答えたのです。
全身サイボーグ化され原理派でも革新派でもない第3の勢力

マリアは怪しみながらも昇平に紹介します。
昇平も原理派だと思われるが石黒を殺した点だけが納得がいかないも心を読むことによってマリアを守る事に嘘偽りない事を確認し一応は信用します。

その後も小谷の協力の元暗殺を続けていましたが、原理派トップの平山が降伏した為小谷は用済みとなり阿南将軍に殺されてしましました。
状況が読めない昇平のもとに影山が来て、マリア会の幹部は全員原理派で革新派はいないと衝撃の事実を告げます。

ここで初めて昇平たちは何者かに踊らされて暗殺していたことを気づきます。
またもや誰かに騙されていたと知り落胆する昇平。もう監視の目なんか気にしなくなります。

そんな中、影山自身の所属を明らかにします。
なんと彼はあーちゃんが生前自衛隊内に残したマリア会幹部候補生たち、20戦士の一員だと名乗ります。

軍部もトップ以外は革新派と原理派がいますがその中に20戦士たちが幹部として紛れ込んでおり、いざとなれば15万人の兵士がマリアを守るはずだと影山は話します。

第3巻16ページより引用

ついに動き出す革新派たち

教団内に大きな影響力を持ち邪魔だった原理派教団幹部たちを降伏させ、昇平とマリアの情交シーン、そして不完全ながらもマリアの形をしたクローン。そのすべての条件が揃った為、ついに軍部トップ阿南将軍が動き出します。

教団トップ平山に銘じて全国の信者に対し本田マリアは偽物の神であり悪魔だと布教させました。
昇平とのセックスシーンも添えての演説の効果は絶大で、原理派から改宗するものが大多数でした。
さらにあーちゃんが作った20戦士の中からも本田マリアへの懐疑心より離れるものも出てきます。

世間から逃れるため、昇平、マリア、影山、覚醒者として力に目覚めつつあるブーちゃんの4人で山奥に隠れ住むことになります。

第3巻52ページより引用

そして阿南将軍から平山に本当の目的を告げる事になります。
それはマリアを捕獲し不老不死の研究を行うという事でした。
結局権力者は永遠の命の魔力からは逃れられないのですね…

さらに軍部革新派が用意したマリアのクローンは無性生殖どころか喋る事すらできない肉人形、また本田マリアは遺伝子的にも完全に元のマリアと一致しているというデータまで持っていたのです。

全ては阿南将軍の不老不死への醜い欲望のために描かれた計画だったのです。

第3巻65ページより引用

ついに明かされる影山の真の正体。

ここからは超絶ネタバレなので一応注意喚起します。未読の方は注意!

なんと影山の正体は、死んだと思われていた十文字篤彦(あーちゃん)だったのです!

昭和不老不死伝説バンパイアのラストで唐沢に撃たれて死んだと思われていましたが、実は唐沢と裏取引をし、あーちゃんのクローンを用意しそれで死体を偽装したのです。その代わり唐沢にはそれ相応のお金かなにか対価を支払ったのでしょう。

そして自身の側近たちで固めた潜水艦内でサイボーグ戦士、影山へと脳を移植しマリアを守るために蘇ってきたのです。

マリア会の幹部たちが殺され始めた為、マリアによる裏切りに対する天罰が始まったと勘違いしていましたが、革新派の陰謀を感じ取りいち早く手を打とうとマリアを山中に隠れるように指示したのもそのためです。

山中での隠遁生活は、かつて少年時代にマリアと過ごしたあーちゃんの幸せな時間を思い出させるものでした。
そして昇平からも十文字篤彦を今はもう恨んでいないと言われ許されたのだと涙を流します。

しかしマリアからは信頼されつつも自身の作り上げたマリア会を否定され戸惑う一面も見せます。

この山中での生活はひと時ながらもあーちゃん(影山)にとって、とても幸せな時間だったに違いありません。

ついにクローンマリアが無性生殖に成功し本田マリアを本格的に襲撃開始…

一方軍部では偽マリアが無性生殖に成功したかのように大々的に発表し、本田マリアが偽物だと決めつけ本格的に攻勢に出ます。
実際は新生児のクローン、幼児のクローンなど様々なタイミングのマリアを模した出来損ないのクローンだったのですが信者たちはそれを信じてしまいます。

最新のハイテク装備を持った精鋭兵士がマリア達を襲います。

マリア達4人に対して何百人もの戦力で徹底的に攻撃を仕掛けますが、なかなか倒しきれません。
また阿南将軍の不老不死の野望の為にもマリアは殺さずに生け捕りにしなければいけないので武器も限られています。そのためなんとか持ちこたえていますが、一人一人と仲間は倒れていきます。

しかし命を懸けて戦う姿を中継で見ていた信者たちは、昇平や影山こそが真の天使なのではないかと疑念をいだきます。それを感じた軍部は中継を遮断。
ついには昇平までも殺され、マリアは捕獲されてしまうのでした。

個人的にはこの戦闘でブーちゃんが突如念動力者として覚醒するのはどうかなと思いますが笑
予知能力者じゃねーのかよ!しかもセックスしてないのに!笑

捕獲され拷問されるマリア、またしてもマリアを救えなかった自分を責めるあーちゃん。

阿南将軍に捕らえられたマリアは途中で偽のクローンと取り替えられ研究所に運び込まれます。
偽のクローンは色欲にまみれた下品な言葉を断末魔に叫ぶようにプログラミングされ公衆の面前で火あぶりにされました。

阿南将軍は不老不死の謎を解くためにマリアに死なない程度に拷問を加え、また己の欲望を満たすためにマリアを犯します。
しかし超常のものであるバンパイアと交わったせいか阿南将軍には自分が謀殺した小谷の亡霊が見えるようになり精神的に追い詰められ、そこを付け込まれマリアの脱出を許してしまいます。

どうでもいいことなんですけど、阿南将軍の研究所の外で飼っている犬がどう見てもバベンスキーに見えます笑
あと多脚戦車を倒すシーンは攻殻機動隊のオマージュっぽいですね。

第5巻98ページ
どうみてもバベンスキー笑

脱出後、阿南将軍を殺すかと思いきや、”神の物語とやらを演じ続けろ”、”本田マリアは悪魔として焼かれて死んだ。それでいい”
もう自分にかかわるなと告げ去っていきます。
一人ぼっちになってしまうマリア。

十文字篤彦の最後

マリアを救えなかったあーちゃんはついに自身のオリジナルの身体をサイボーグ手術により”天使”に作り替えます。
そして偽のマリアが生んだクローンのお目見え式の最中に現れ、十文字篤彦、真の天使としてマリアのクローンを殺し、また命がけでマリアを守るために戦った影山である証拠を信者たちに見せ一気に心をつかみます。

流石圧倒的なカリスマ性とマインドコントロール力。母親が新興宗教の教祖だったその血をしっかり受け継いでいますね。

その後、自身のその能力をフルに使い信者をまとめ挙げ革新派に対して戦争を仕掛けます。
またもや日本人同士での争いが起こってしまうのです。

そんな中マリアは街で流れる映像で影山があーちゃんだったと知り、かつまた内戦を始めようとしているのを止めるため単身でマリア会へ乗り込みます。
あーちゃんが本当にマリアを第一に考えマリア会の教えに殉ずるのであればマリアによる神罰を喜んで受け入れるはずです。

しかしまたしても十文字篤彦は心変わりしてしまうのです…

マリアはあーちゃんを信じて殺すつもりではなく腕1本だけで済まそうとしいた所、まさかの反撃。

マリアを偽物のクローンとして殺してしまいます
一コマだけですがその時の顔がかつて新興宗教の教祖だった母親そっくりに見える演出が入ります。

結局あーちゃんは自身の流れる血に逆らえず、己の野望の為にまたマリアを裏切ってしまったのでした。

個人的には完全に悪い人だとは思えません。
人間誰しも二面性があるものです。
狂四郎2030の八木にも似たキャラですね。ちょっと悲しい終わり方でした。
またそこが人間臭くて秀逸なキャラ描写だと思います。
徳弘正也先生の人間の表現力には脱帽ですね。

”あーちゃん”と”十文字篤彦”はそれぞれ別の人格でいて、なおかつ悲しいほど同一人物でした。
このシーンは是非実際に本を読んで見てみてください。

ラストシーン

結局殺されてしまったマリアは天国へと旅立ち、死んでいった昇平やブーちゃんと再会します。
これで終わりかと思いきや衝撃のラストが待っていました。

なんと本田マリアはマリア会の集会に赴く前にすでに無性生殖をおこない自身の分身をこの世に残していたのです!

最後のセリフは”また永遠を生きるとするか”という新しいマリアの一言で終わります。
果たしてこれはハッピーエンドなのでしょうか?

天国で昇平たちと出会ったマリアは別のマリアなのでしょうか?
それぞれのマリアが死後天国へと行くのであれば、昭和不老不死伝説バンパイアで死んだマリアとは昇平たちは出会えたのでしょうか?

それとも本田マリア以降は別人格として新たに生まれ変わったのでしょうか?
考察は尽きませんが個人的にはかなり好きな終わり方です。

なんとなく雰囲気だけヘルタースケルターのラストっぽい感じがするのは僕だけでしょうか?笑
あっちはバッドエンドともハッピーエンドとも言えない終わり方でしたが…

まとめ

前編、後編に渡って詳しく読み解いていきましたが第一話から考えてここまでのオチに持ってくる構成力は本当に半端じゃないですね。
複雑な要素を入れ込みつつしっかりそれを描き切り、気持ちいい読後感を感じさせるラストに持っていく手腕。名作ですね。

狂四郎よりさらにマイナーな気がしますが、是非見て頂きたい作品です。
社会の在り方、人間としての幸せなど深いテーマが盛り沢山です!

まだ読まれてない方は僕のつたない文章でのネタバレよりもしっかり原作を読むことをおススメします。

総評
近未来SF奇譚と評しているが、内容はいつの時代も変わらない人間の醜さと自然への畏敬。
とても普遍的なテーマを扱っている名作です。絵柄やお色気シーンが多い為なかなか人を選ぶ作品だと思いますが、隠れた名作なので是非手に取って読んで頂きたい一作です。 95点

久しぶりに漫画の記事を描いたら熱が入り過ぎて合計で1万字以上書いてしまいとても疲れました…笑
思入れのある作品、素晴らしい作品を紹介するのがこのブログのコンセプトなのですが毎回全力投球なので疲れます。

次はもっとサクッと読める記事を書くのでご期待ください!