映画

【映画】あの夏のルカ ボーイミーツサマー 少年時代の夏の思い出の再体験 人種差別問題を抱える現代に希望を与える作品! 美しい水の描写が見所! 感想解説、無料視聴など!77点

作品解説

監督 エンリコ・カサローザ
脚本 ジェシー・アンドリューズ マイク・ジョーンズ
公開 2021年6月18日
上映時間 96分

あらすじ

平穏な<海の世界>に暮らすシー・モンスターの少年ルカは、海底に沈んでいる“人間のモノ”に興味津々で、見たことのない世界への憧れは募るばかり。人間の世界を知るシー・モンスターのアルベルトと出会った彼は、ついに海の掟を破り、2人でポルトロッソの町に足を踏み入れる。身体が乾くと人間の姿になる性質を持つ彼らは、どこからみても普通の少年だが、少しでも水に濡れると元の姿に…この“秘密”を人間に知られる恐怖を抱きながらも、ルカは目の前に広がる新しい世界に魅了されていく。もっと知りたい。この世界のすべてを──

だが、ルカとアルベルトの無邪気な冒険はやがて、海と陸とに分断されてきた2つの世界に大事件を巻き起こす。果たして、ルカの禁断の憧れが生んだ<ひと夏の奇跡>とは、何か…? 

Disney+より引用

キャスト

  • ルカ・パグーロ 阿部カノン
  • アルベルト・スコルファノ 池田優斗
  • ジュリア・マルコヴァルド 福島香々
  • マッシモ・マルコヴァルド 乃村健次
  • エルコレ・ヴィスコンティ 浪川大輔

感想 解説 見どころ

久しぶりにピクサー映画を観ました!
なんと本作はディズニー+で限定公開です!

映画館に行かなくても最新作が観れる時代になったんですね…
こんな時勢なので映画館に直接行って観るのははばかられますからねー

ピクサー映画といえば世相を反映させたようなテーマを持った作品が多いですが、今作も現代社会における問題などを取り扱っていると感じました。(コロナではない)

記事を書くのも久しぶりなのでいつも以上に拙い文章になってしまうと思いますがよろしくお願いいたします。

ピクサーならではの表現力!私たちが居た「あの夏」を美しく描く

今作ではピクサー映画初の夏を描いた作品です。
太陽が降り注ぐ真夏の熱気を感じさせる映像が非常に美しい!

舞台は北イタリアの港町ポルトロッソ
これはもちろん架空の港町ですがモデルがあり、イタリアの沿岸部にある街並み、リヴェラを元にしたそうです。

実際、監督の エンリコ・カサローザ自身北イタリアの港町出身という事もあり、リアルな港町の雰囲気が出ていますね。

ちなみに舞台となった港町、ポルトロッソの名前の由来はジブリ映画の紅の豚の主人公、ポルコ・ロッソからとったそうです。
この映画もイタリアのアドリア海を舞台にした作品でしたね。

監督自身、大のジブリ好きとのことでジブリオマージュとしてこの名前を付けたとの事。
作品自体にもどこどとなくジブリっぽい雰囲気が漂っています。

今作で印象的な水の表現も、ただ単に写実的な表現ではなくアニメを参考にして作られています。
水しぶきなんかの描写は、確かにアニメっぽい描かれ方をしていますね。

わざわざアニメ的な表現にする為に水彩画で絵コンテを切ったそうです!
手間かけすぎですね笑

しかし個人的にはかなりこの水の表現に目を奪われました。

作中のギミックとして、水を浴びると人間の見た目からシーモンスターと呼ばれる魚人の姿になってしまうというものがありますが、全身に水を浴びた場合はまるっと魚人になってしまいますが、一部浴びた場合は浴びた場所だけ変身が解けてしまいます。

この一部だけ濡れるという表現が非常に素晴らしいんですよ。
かなり技術的に難しい部分であると思うんですが本作では違和感なく落とし込めています。

これは写実的な描写では難しくて、アニメのような水の表現だからこそできる技だと思いますね。
リアルでリッチな映像表現にした場合あまりにも細かくなりすぎてこのような演出を見せるには難しかったと思います。
うまくジャパニメーションオマージュにしたおかげで出来た表現かと。

作中、ルカの両親がポルトロッソでルカを探すために街の子供たちに水を浴びせまくるシーンが特に秀逸でしたので必見です!

子供の視点から見た「あの夏」。世界共通の夏体験

本作でのストーリーでの根幹に子供の頃に感じた夏体験があります。

日本では夏休みなんかが子供の頃の夏の原体験ですよね。
今作の舞台はイタリアという異国の地なんですが、なぜか日本の夏休みに似た雰囲気みたいなものを感じます。

なんでだろうなと考えた所、ストーリーの中にその答えがあったような気がします。

もちろん映像、音楽的な要素もあるんですが一番は「出会い」「冒険」の要素。

主人公ルカは親からの言いつけを守り海中で退屈な日々を過ごしていましたが地上の人間界に憧れを持っていました。

そこでひょんなことから人間界に平気で足を踏み入れるアルベルトと出会います。

アルベルトはルカと対照的なキャラクターです。
どこか臆病で保守的なルカに比べ、恐れを知らずどんどん挑戦していくアルベルト。

理想の実現の為に努力を惜しみません。
子どもの頃って大人に比べてまだ人格的にも未熟な事もあり、いい意味でも悪い意味でも個性的な人が多かったですよね。
アルベルトみたいな強引でグイグイ来る人が魅力的な人に見えたりもしましたね。

こういう自分とは違う個性を持った人との出会いっていうのも子供時代ならではのモノだと思うんですよ。

子供時代の夏休みに田舎の両親の実家で出会ったその夏限りの友人的な。
その夏限りじゃなくてずっと友達でいられるような出会いもあったかもしれませんが。

そしてそんな友達と出会い、親の言いつけを破って行ってはいけない隣町までこっそり遊びにいっちゃうような冒険なんかも子供時代のあるあるですよね。

子供時代の夏ってなんか羽目を外させるワクワクする雰囲気があったんですが本作ではそんな夏の体験を思い起こさせるようなモノがあります。

それは日本だけではなく世界中に普遍にある子供時代の体験なんだと思います。
本作はそんな懐かしい感情を思い出させてくれるような不思議な魅力を持った映画だと思います!

ちなみにルカの親友になったアルベルトにはモデルがいるそうです。

監督の少年時代に出会った友達で名前もアルベルトという人物がモデルだそうです。

監督の非常にパーソナルな原体験を元にしたストーリーですが多くの人の心に刺さる物語になっています。

これは各々が体験した子供時代の思い出というのは実は誰しもが通る普遍的な冒険や出会いだったのかもしれません。

作中での主人公達のやり取りはどこか今までに見た事のような不思議な懐かしさを感じるものばかりでした。

ルカと仲良くなるジュリアを見てアルベルトが嫉妬のような感情を持つ所なんかも非常に子供時代のあるあるで細かく人物描写をしているなと感心してしまいますね。

シーモンスターに対する偏見は人種差別?知らないという事がもたらす差別。

本作で人間はシーモンスターに対して狂暴で恐ろしいバケモノという偏見を持っています。

いつからの伝説なのかわからないほど昔からシーモンスターを恐れており、舞台となったポルトロッソの街並みの中にもシーモンスターを退治した伝説を現した銅像などが建てられています。

しかし街の住民の中には実際にシーモンスターを見た人はいません。
ただ伝説として恐ろしい生き物とだけしか知りません。

実際に過去になにかあったかは不明ですが、現代の時点ではシーモンスターの被害などは出ていないようです。

しかし人間は過剰にシーモンスターを恐れます。

それはなぜか?
答えはシーモンスターの事を知らないから。

知らないからこそ恐れ、恐れるからこそ攻撃的になる。
これって現実世界での国家間、人種間、民族間での差別、対立にも言える事です。

お互いの事を知らないって事がいかに怖いか。
差別や対立の元になってしまうかという事が描かれている気がします。

作中でもルカとジュリアはシーモンスターと人間という異なる人種ですがお互い知り合い親友となる事ができました。

お互いの事を知り合えば仲良くできる事も知らなければそのままです。
過剰に恐れ合う事が差別や対立を招いてしまうという事ですね。

監督のインタビューなどによると、元々シーモンスターは昔の海図などに描かれた海のバケモノをモデルにしており、昔のシーモンスターはそれに近い姿をしていたそうです。

しかし時代が進むとともに今のルカ達のような人間に近い姿に進化していったそうです。

その為、ルカ達に比べておばあちゃん世代は少し怖い容姿に、そして両親は少しマイルドにと世代を経るごとに優しい見た目に意図的に描いたそうです。

現実世界でも世代を経るごとに互いを知り合う切っ掛けが増え、互いを過剰に恐れない世界になるといいですね。

あうあう

美しい夏の海の描写に目を奪われがちですが、少年時代の誰しもが経験した出会いや冒険などの思い出を鮮明に描いた作品!見ればあの懐かしい少年時代に戻れるかも!? 77点

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あうあう
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