漫画

【漫画】祝映画化!ホムンクルス 人間の深層心理を視覚化する能力でトラウマを治療する?ラストシーン、最後の解釈とは? 感想、解説など。ネタバレありなしどちらも 85点

名越の過去と隠されたコンプレックス。

いくつものホムンクルスと対峙する事により自分自身の過去のトラウマやコンプレックスと対峙する名越。

物語の後半では名越自身のトラウマ、コンプレックスと向き合っていく事になります。

名越は自身の見た目が醜いため、ずっと下を向いて誰にも見られてないように生きていた過去があります。
そして上京する際にコンプレックスを克服する為に整形手術を行い、今の容姿を得ます。

そして大学を卒業し、大企業に就職しエリートになり、お金名誉を手に入れる事ができました。
しかしそれらは自らを偽って手に入れたもの。周りの人も金も名誉も偽りの自分が得たもので、生きる実感を失っていきます。
そして自身に対しても嘘をつくようになっていました。
その為自らの体温、匂いなどを再確認する為、自身の精子を飲むという異常な行動をとる様に。

そんな中彼は偶然、出張先で乗ったタクシーである事が起きます。
それはそのタクシーの運転手はかつて名越が倒産させた会社の社員で、倒産により家族とも別れボロボロの生活を送るようになっていました。

そこで名越は自分自身の行っている仕事の影にこのような不幸な人物を生んでしまっていると初めて実感します。
それにより仕事も上手くいかず退職しホームレスとなっていました。

ホームレスになってからの名越の虚言癖はずっと自身を偽り続けていた為のものでした。

ナナコという女性。彼の心を見た女性。

自身の過去と向き合い始めた名越は、かつて自分の心を見てくれた女性がただ一人いる事を思い出します。

それはナナコという女性で、ずっと下を向いていた自分を初めて見てくれた女性でした。
彼女は名越と同じように容姿に恵まれず、はっきり言ってかなりの不細工でした。
しかし彼女だけが唯一偽りのない自分を見てくれた人でした。
そして彼女は今の名越のようにホムンクルスを見る事、人の心を絵でとらえられるという能力を持っていたそうです。

ある時ホムンクルスが見えなくなった時、一人の女性だけがホムンクルスに見えるようになります。
彼女は毎日のように違う男性と高級ホテルに通う謎の生活をおくっている様子。
恐らく不特定多数の男性の愛人として生活をしているのでしょう。

なぜかその女性だけ顔が次々と変わるホムンクルスに見えたのです。
そして次々現れる女性の顔はかつて名越が抱いた女の顔でした。

しかし他の人物のホムンクルスは見えないまま。

名越は他人のホムンクルスを通じて自分を見ていた為、急に見えなくなった事でパニックを起こします。

名越はその原因は頭蓋骨に開けた穴が物理的に塞がってしまったからだと思い込み、伊藤に再度穴を広げるように頼みこみます。実際確かに膿とかさぶたが詰まっていた為それを取り除いてもらいました。

しかし例の女性以外ホムンクルスが見えません。
追い詰められた名越はついに自身で勝手にトレパネーションを行ってしまいます。
彼は命を犯してでも自分自身を実感したかったのです。

そして自ら再度、頭蓋骨に穴を開けた事によりホムンクルスを見る能力が復活しました。

唯一ホムンクルスが見る事ができた女性

自身が行った無理なトレパネーションの為、名越は出血多量で道端に倒れ込んでしまいます。

そんな時に例の顔が変わるホムンクルスの女性が接触してきました。
彼女はかつて名越が偽りの生活をおくっている時に出会った女性で牧村ゆきと名乗ります。

しかし彼女の言葉はほとんど嘘。
嘘をつくときに顔が変わるホムンクルスを持っていました。
名越自身彼女と出会った記憶はあるのですが詳細は覚えていません

伊藤に相談したところ彼女は全身整形を行っており元の顔の面影は恐らくほとんどないだろうと言います。

彼女と接触していくうちに名越は徐々にかつての記憶が蘇ってきます。
偽りの生活をおくっていた時、彼女を抱こうとしたのですが、嘘つきとは寝ないと拒絶された事を思い出します。
しかしその次の朝、ゴミ箱に1枚のスケッチが。

そのスケッチはかつて整形する前に出会った唯一名越の心を見てくれたナナコの画風とそっくりでした。
その為名越は、謎の女の正体はナナコであると思い始めます。

謎の女の正体…

結論からいうと例の女性はナナコではありませんでした。

名越は例の女性の虚言癖と整形まみれという共通点を見いだし、彼女の中に自分自身を投影していたのです。
そして勝手にナナコが整形をして目の前に現れたのだと思い込んでいただけでした。

実際にこの女性はかつて不細工な彼氏に逃げられたという過去を持っていました。
しかしその相手は名越ではなく「さとし」という男性でした。

しかしそんな事実は名越にとって些細な問題でした。

お互いを見つめる事で自身を再確認する二人

名越は例の女性に君の心を見てあげる代わりに自分の心を見てくれと取引を持ち掛けます。
お互い心を見つめ合い自分に嘘をつかなくてもいいようになろうと。

その為に最後は自分に一度だけ嘘をつき、ナナコとして振舞うように要求します。

最初は心を見るという名越の能力を疑っていた女性でしたが、目の前でかつての愛人を心のトラウマを刺激する事によって追い払う名越を見てその能力が本当だと気が付きます。

そして彼女は名越の為、自分の為「ナナコ」として名越とともに歩みだします。
そして名越は彼女にも人の心が見えるようにするためにトレパネーションを施します。

そして衝撃の展開。

ついに名越は自身の心を見てくれる女性と出会い結ばれます。
トレパネーションを施した彼女を見るとそこには名越本人が。

そして顔だけが名越になったナナコと名越は結ばれます。
まるで自身とセックスしているようなシーンは今作で一番生理的に気持ち悪いシーンですね…

そしてナナコ自身も名越がナナコ自身になり、自分で自分を見つめる事ができるようになりました。

それどころか名越の場合、待ちゆくすべての人間が名越の顔になっています。

エピローグ。ハッピーエンド?バッドエンド?

それから1年後、名越は海の見える崖で伊藤によって発見されます。
その姿は痛々しいもので、恐らく自分で何度もトレパネーションを行った痕がありました。

そして名越は見る事に疲れたといい、俺の心を見てくれと伊藤に頼みます。
そして手にはドリルが。今度は伊藤にトレパネーションを施そうとしたのでしょう。

しかし車の外には大勢の警官が。
ナナコになった女性は恐らく無茶なトレパネーションによって死んでしまった為、名越は警察に追われていたのです。

そして最後に警察に捕まる際の名越にはその警官たち全員名越の顔をしていました。

なぜ名越は全ての人の顔が名越に見えたのか?

最終的に名越は出会う全ての人が自分の顔をしたホムンクルスになります。
これどういう意味かというと、名越は自分自身を常に見る事ができ、それによりまた見られる事によって生きている実感をやっと得られたのです。

以前までのように不完全な一部だけリンクしている人だけがホムンクルスとして見えるのではなく、すべての人が自分に見える完璧な状態へと進化したのでしょう。

ある意味究極の共感覚ですね。
その為、名越は常に嘘をつくこともなく下を向くことなく人生を歩む事ができるようになりました。

結果として気が狂ってしまったような終わり方でしたが、個人的には間違いなくハッピーエンドだと思います…

もう名越は一生自分を見失う事がないのですから…

まとめ

今作では人の価値とは?外見なのかそれとも中身なのかという論争が常に作品中で行われています。
結果として結論は明確に示唆されていませんが、名越は自身の心を自身の顔をした他人というホムンクルスを通じて実感しています。

人間誰しもが名越ほどではないですが、多少なりとも嘘、偽り、コンプレックス、トラウマなどがあると思います。

今作ではそんなトラウマ自体も自分のものとして受け止める事。
他人にもそういうものがあるという事などを考えさせてくれるような作品でした。

結局は相対的なものでしかない個人の価値観などに囚われすぎるなというメッセージ性を感じました。

果たして私の考察が正しいとは全然思いませんが、今から読む方などの考察の一つのきっかけ、もしくは読んだ事のある人は再度読み直すきっかけになれれば幸いです。

あうあう

人の心、トラウマなどを立体的に描写され優れたストーリーライン。
徐々に明かされる主人公の過去などドンドン引き込まれていく名作です!
自分自身を見つめなおしたい方に是非おすすめ! 85点

人によってかなり考察の内容が異なる難解な作品だと思います。
でも読めば必ず何か惹かれる部分、自身と重なる部分があると思います。

かなりカルト的な漫画ですが、是非おすすめしたい漫画ですね。

そしてなんと来年映画化するみたいです!
まさかこの漫画を映画化するなんて…
まずは2021年4月2日に公開され、その後はどうやらネットフリックスで配信されるようですね。
劇場版の主演は綾野剛さんだそうです。

めっちゃくちゃ楽しみです!
できれば劇場で観たいけど無理だろうなー…

1 2
ABOUT ME
あうあう
映画、漫画などインドアでお金があまりかからないものが好き。 少ないお金で人生を豊かにするものを紹介していきます。 Follow @gablogme

コメントを残す