作品解説
監督、脚本 クーパー・カール
公開 2020年9月29日
上映時間 89分
あらすじ
ある日突然襲われ、失明してしまった女性バイオリニスト。世話係として男性介護士が派遣されてくるが、やがて彼女は何かがおかしいと疑念を抱く…
Netflixより引用
キャスト
- エレン マドレーヌ・ペッシュ
- クレイトン アレクサンダー・コック
- ラナ ディセンバー・エンスミンガー
感想 解説 見どころ
目が見えないという人間として誰もが恐怖するシチュエーションをテーマにした本作!
カメラワークが巧みで見えない恐怖がより象徴されています!
ストーリーも少しずつ謎が解けていき、ドキドキするような構成になっています!
早速見所などをレビューしていきます!
目が見えない、想像の中の世界
主人公エレンは謎の男に襲われ盲目になってしまいます。
急に目が見えない世界に放り込まれるのは非常に恐ろしい…
ちなみにタイトルのサイトレスは英語で盲目という意味です。
目が見えないので、周りの人の情報や自身の想像などの目以外からの情報で認識しています。
その為、本作の映像は実際の風景ではなくエレンが”思っている”世界を映像化しています!
なのでたとえば鳥の色を他人に尋ねて青と答えられると映画の中の映像の鳥が青く色が変わるといった方法で、エレンの頭の世界を現した表現になっています。
またそこにあると思って手を伸ばしたら実はなかったなど視覚的に思い込みが映像化されています。
この映画の中で映し出される風景が必ずしも現実に則していないというのは今作の根幹となる演出ですね。
自分が見ている映像が本当に起きているかどうかわからないという感覚を主人公エレンと共有しているような感覚。
盲目の人の頭の中を見るような不思議な映像体験になっています。
意図的なカメラワーク?
本作ではほとんどのシーンでエレンが見ている側にカメラが向くことがないです。
例えばエレンの背後から俯瞰するようなカメラアングルがほぼないです。
これはエレンが目の前の風景を見る事ができないというのを疑似的にカメラで表現しているのかなと感じました。
またエレンの視線の方に向くカットでは、エレンの顔や外へと繋がっている窓など確実にその形をしているだろうというものだけとなっています。
これも直接的な映像による盲目体験だけではなくカメラワークで、より見えないという感覚を視聴者にも感じさせる面白い試みだと感じました。
後半の展開が雑
物語後半である事実が判明するのですが、そのトリックがだいぶ無理があります…
そして設定と前半の描写でなんとなく展開が読めてしまうのですが、予想外の展開などもなく予想通りに物語が進むのもちょっと残念。
あともう一捻り欲しかったですね…
黒幕の過去など現実味がないです。
そんな父親いるか?と思うような過去が…
あと声の問題も無理があるような…
とにかく黒幕は予想通り過ぎるのですが、トリックがかなりお粗末な印象でした。
ネタバレ感想
ここから先はネタバレを含むのでご注意を!
クレイトンの声マネ上手すぎるだろ!笑
ラナ以外の登場人物は全部クレイトンが声色を変えて演じていました…
外から街の音が聞こえるけど実は室内に作られたセットだったというトリックと合わせてエレンを騙していたのです。
実の父親に3年間暗闇の中、父親に監禁された間に身に着けたのか?
百歩譲って自身にある他人格の声ならギリ声色を変えたで納得させられるかもしれませんが、日本にいるはずのエレンの兄弟の声マネすら完璧に行うのは無理があるだろ…
あと地味にあんな完璧なセットを作れる家が現実的ではない。
いくらアメリカの住宅事情が日本と違って広い家だとしても完全防音であの広さのセットは説得力ないなー。
クレイトンがめちゃめちゃ資産家とかならわかりますがそういった描写はありません。
そもそも3年間も監禁されてた男が金持ちである可能性は低いでしょう。
そもそもクレイトンが監禁から解放された理由なども明かされないですし、監禁していた父親の情報も全く出てこないのでしこりが残る感じ。
どうせ設定的に後の展開が読める映画だったので、だらだらとした前半をもっと縮めて後半の部分をより深く掘り下げた方がよかったんじゃないかな?
目が見えない状態でクレイトンと立ち向かうのをメインにした方がスリラー映画的に面白かったと思う。
その辺が少し残念な感じ。
欲を言えばエレンの完全主観で真っ暗の視界の中、クレイトンから逃げるシーンとかあっても良かった。
セガサターンのエネミーゼロみたいな感じで。
Netflixのバードボックスなんかいい例なんだけどなー
それからラストシーンでエレンがバイオリンのコンサートに向かうシーン。
あそこで声をかける男性が実はクレイトンだったというオチだったらもっとゾッとして良かったかなと思います。
普通にハッピーエンドではなく含みを持たせた方が余韻的にいいものになりそうなのになー
目が見えないという新たなシチュエーションサスペンスという設定は良かった!
ただストーリー展開にひねりが欲しかった惜しい作品。 60点