Amazonより引用

作品情報

監督 本郷みつる
脚本 もとひら了
公開 1993年
上映時間 93分

あらすじ

幼稚園の夏休み、しんちゃん達野原一家はひょんなことからちょっと怪しいアクション仮面アトラクションハウスに迷い込み、フィクションの存在のアクション仮面が実在するパラレルワールドに時空を超えて入り込んでしまった。
その世界では地球制服を企むハイグレ魔王が世界中の人々をハイレグ水着にし、アクション仮面の力を封じ込め地球を大混乱に陥れていた。
偶然巻き込まれた野原一家は果たして元の地球に帰れるのか、地球を守る事ができるのか…

キャスト

  • しんのすけ 矢島晶子
  • みさえ ならはしみき
  • ひろし 藤原啓治
  • アクション仮面  玄田哲章
  • 桜ミミ子 リリ子 小桜エツ子
  • Tバック男爵 郷里大輔
  • ハイグレ魔王 野沢那智

感想 解説 ネタバレ

今回は今までと打って変わってアニメ映画の紹介です。
皆さんおなじみの国民的有名アニメ「クレヨンしんちゃん」の長編映画第一作目
他で紹介しているようなバイオレンス映画ではないですが質の高い映画ということで大人の方にも是非おすすめできる一作です。
最近のクレしん映画はあまり見れていないのですがどうしてもクレしん映画は世代なので紹介したくなっちゃいますね。

クレヨンしんちゃんの一般的な設定はご存じとの前提のもとにレビューしていきたいと思います!

オープニングから完璧な演出!子供向け映画とは思えない秀逸な導入部!

本作はクレヨンしんちゃん初の長編映画作品です。
そんな一作目のオープニングは非常に力が入っていますね。
まず子供向け映画とは思えないほどシリアスな導入。長編映画一発目でこの雰囲気を作りだしたのは素晴らしいですね。
作中劇であるアクション仮面から不意のトラブル、そこからの不気味で不安を煽る演出。
完璧ですね。

それ以前にアクション仮面のシーンがとても劇中劇とは思えなくカッコいい演出です!
非常に短いシーンですが制作陣の本気が感じ取れます。
このシーンで使われてるSEやBGMは後々のテレビシリーズや映画でも使われていますが出来がいいので全然使いまわされてる感じがしません。
他にも言うまでもなく作画がいい。キャラクターが良く動きカット数も豊富です。
ブラックメケメケ団が囲んでアクション仮面を爪で攻撃するシーンなどはカリオストロのオマージュっぽいしやたら対空時間の長いアクション仮面のジャンプシーンなんかも仮面ライダーやウルトラマンなどの古い特撮からのオマージュを感じられます。

そして謎の爆発から劇中劇から現実に戻りスタッフが現れアクション仮面演じる郷剛太郎を気遣うセリフなど、本当にアクシデントが起きた不穏さをよく表現しています。
不気味な仮面をつけた野沢那智さんが声をあてるハイグレ魔王も動きも含め不気味でいいです。顔を隠しているところもいいですね。

またこの映画のターゲット層は恐らくアクション仮面のような特撮ヒーローに夢中になっている子供たちのはずなのに序盤から撮影風景を見せ当たり前のようにフィクションとして扱っています。

これも非常に演出として革新的だと思います。
子供は子供向け映画として提供されたものよりも少し大人向けのものが実は面白かったりします。また大人が見てもこれはただの子供向け映画ではないなと感じさせる素晴らしい導入部です。

暗く不穏で不気味なシーンから主題歌が流れるんですがアニメでの主題歌をそのまま使い、オープニングの雰囲気を一度断ち切り、しんちゃんの日常に場面が変わるのもワクワクさせる演出ですね!

日常と非日常が溶け込む描写。徐々に浸食される日常

クレヨンしんちゃんの映画は基本的にすべて日常の生活から非日常に移り替わり物語が進行します。
もちろんクレヨンしんちゃん事態が現代の日本の春日部を舞台にしている為長編映画では荒唐無稽な様々な非日常的なことが起き、特別感を出しています。まぁ劇場版なので当然ですね。
クレしん映画の素晴らしい所は非日常への導入演出が秀逸なものが多いです。
1作目の本作からそこが光っています!
しんちゃんがアクション仮面カードのNo.99のカードを手に入れるシーン。

偶然迷い込んだ路地裏にやたら雰囲気のある駄菓子屋でのこのシーンは見た人ならわかる独特な不思議な非日常的な雰囲気を感じられるでしょう。

またひろしが駅でポスターに映る海に見とれるシーン。サブリミナル的な、裏で誰かが仕込んだと思われる暗示。そして案の定家族を誘い海に行く流れもちょっと不思議で非日常が徐々に日常に入り込む様子を丁寧に描いています。セル画による透かしのような演出がまた良い。

そしてアクション仮面アトラクションハウスのシーンでは海へと向かう道路の喧騒から打って変わって不気味なほどに静かになり、ますます非日常的な雰囲気が高まります。
そして実際に次元転移装置にのりパラレルワールドに行くという流れが非常に丁寧に描写されていますね。ここでの移動でのカット割りやカメラワークなども凝っており、異世界に迷い込んだような不安になるような演出が良くできています。

このようにフィクションの存在のアクション仮面が実在し、実際に地球が侵略されるという非日常に放り込まれるまでがたっぷり時間をかけて表現されています。
子供向けのアニメの初映画作品でここまで安易にパラレルワールドに行かず丁寧に非日常への流れを描き、必要最低限のギャグなど非常に挑戦的な演出です。
この時から大人が見ても面白いと思える作品の骨子ができていますね。

ヒーローものの王道!アクション仮面がめっちゃカッコいい!

今作ではもちろんしんちゃんも頑張りますが最後はアクション仮面とハイグレ魔王の対決がメインです。
そもそもストーリーの大筋はアクション仮面を異世界からこっちの世界に連れ戻しハイグレ魔王をやっつけてもらうためにアクションストーンを守っていたわけですからね。
後々のクレしん映画よりしんちゃんが子供として誰か大人に頼らなければならない所が逆に新鮮です。

そして満を持してアクション仮面が登場してからの安心感がものすごいです!
理想のヒーロー像ですね。アクション仮面は。
ちゃらちゃらせず王道のヒーロー。声が玄田哲章さんってのもありますがヒーローとしての説得力が半端ないです。
あのシンプルなデザインでも動きと声であそこまでかっこよくなるかってくらいしびれますね笑

対して敵役のハイグレ魔王もいい味だしています!
こちらは野沢那智さんが声を当てていますね。オカマで魔王でハイグレの侵略者っていうどう演じたらいいかまったく想像のつかないキャラなのに違和感ない声なんですよねー。
渋いシーン、不気味で怖いシーン、コミカルなシーン、熱い戦闘シーン。
それらすべてにマッチしています。
このキャラのキャスティングに野沢那智さんを選んだ制作陣はすごいですね!

ストーリーの原案は漫画原作者!日常漫画から長編ストーリー映画のフォーマットを作り上げたパイオニア的作品!

今作は何度も言いますがクレヨンしんちゃん劇場版第一作目ですが後々に何作も作られ毎年の子供や大人すらも楽しみにする名シリーズとなる要素がしっかりと盛り込まれています。

まずはっきりと非日常を描くというスタンダードなコンセプトで作られたこと。
クレヨンしんちゃんの映画はこの後も何作も出ますがこの非日常での冒険を描くというのは結構な挑戦だったと思います。
そもそも原作はショートギャグ漫画。それも育児に追われる母親と破天荒な幼稚園児の日常という作風です。いわばちょっと大人向けのちびまる子ちゃんみたいな感じ。
それをSFや特撮の要素をメインに据えたのは先見の明があったと言えるでしょう。
この流れがあったからこそ、後のオトナ帝国などの名作が生まれるきっかけとなり長期に愛され季節の風物詩と言える映画シリーズになりえたのです。
一作目からハチャメチャでありながら大人の鑑賞に堪えうるストーリーと演出を打ち出したという所がすごいですね。

今作の原案は原作者考案の登場人物やストーリーで企画段階の時点から臼井義人さんが関わっているそうです。
これも相当すごいエピソードですよ。
主人公のしんちゃんではなく劇中劇のアクション仮面にスポット当て地球の侵略を企むハイグレ魔王との闘いをメインに据えるっていうコンセプトを提案したっていうね。
マジで大冒険ですね笑

原作の6巻にクレヨンしんちゃん原作初の長編シリーズとして収録されています。
映画とは違い漫画独特のギャグ展開ですが映画版とは少し違いますが、その雰囲気はしっかり映画に色濃く反映されていると思います。
なので今作は後の作品に比べ出てくるオリキャラが非常に原作っぽいです。
まぁ原作者デザインなので当たり前ですが笑
ハイグレ魔王Tバック男爵、ハラマキレディースなどのデザインやネーミングセンスは原作を好きな人は臼井義人っぽさがわかるでしょう。

小ネタ

今作ではシロ北春日部博士の発明のおかげでしゃべります。
テレビスペシャルや後の映画でもちょこちょこしゃべりますがたぶん今作が初めてだったと思います。
この時の声が風間くんを演じる真柴摩利さんなんです。
というか人語をしゃべらない鳴き声の時からですが。
聞く人が聞けばすぐわかりますが子供の頃に気づいた時はびっくりしましたねー。
他にはガンダム0083シーマ様とか演じてますが役の幅が広い良い役者さんですね。

あとはハラマキレディースのリーダーの声優さんは井上瑤初代ガンダムセイラさんを演じている方ですね。
どっかで聞いたことあるなーって思ってたけど言われて気づきました笑
この時代のクレしんの声優は非常に豪華ですね!

総評

一作目とは思えないほど違和感がないです。ていうか結構ブリブリ王国の秘宝とどっちが一作目だったけわかんなくなるほどクレしん映画として違和感がないです。
完成度が高いからこそですね。一作目にして完成されていました。
またまだ原作の初期に作られた映画なのでキャラクターもしんちゃんの中心に近い人達にスポットが当たり逆に今見ると新鮮ですね。春日部防衛隊の活躍は本作ではまだ見られませんが。
原作の雰囲気とアニメの雰囲気が良い感じにミックスされていますね。

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評価
後々の人気長編映画シリーズの礎的作品!
一作目から完成度が高すぎる奇跡的なアニメ映画です! 85点
原作初期の最近のしんちゃんとはまたちょっと違った雰囲気も味わえる記念碑的作品ですね。演出も大人が見てもグッとくる映画としてもレベルが高い一作になっているのではないでしょうか

今作では急にアニメ映画の紹介になりましたがこれからはどんどん色んなジャンルのものを紹介していきたいと思います!
よろしくお願いいたします!