作品情報
作者 新井英樹
出版社 エンターブレイン
掲載紙 コミックビーム
巻数 全8巻
感想 解説 考察など
今回は久々に漫画の紹介記事です！
しかも濃い作品を生み出し続ける新井英樹先生の作品です！
今回はその中でもかなり特異な作品、「スキャッター あなたがここにいてほしい」をご紹介します！
後半ではネタバレを含むのでご注意を！
新井英樹作品の為かなり人を選ぶ漫画になっていますが、中身は王道ヒーローもの。
しかしそのヒーローの武器は精液でした…
新井英樹先生の他の作品はこちら！↓
歪んだ性癖を持った主人公、久保
主人公久保ヒカルは23歳無職童貞のニート。童貞を拗らせた仲間たちとB4M(BOYZ4MEN)と名乗り、女性決別のグループ活動中。活動の内容は女性蔑視、とりわけ女性器蔑視の動画などを制作しネットにあげる日々。
そんなある日、公園で青姦中のカップルをのぞき見て下半身を露出中、同じく漫画の取材の為に青姦を盗撮していた女漫画編集者、沢田と出会う。
沢田は漫画家による無茶ぶりで盗撮を行っていたのだが久保は同じ変態を見つけたと勘違いし、顔をストッキングで隠したまま沢田にぶっかけてしまう。
逃げた沢田だったが、その際カバンを置き忘れてしまい、それを久保が持ち帰る事で物語が始まる…
あの日を忘れられない久保は残されたカバンから沢田が漫画編集者と突き止め、自身を漫画家志望と偽り出版社に持ち込みという形で沢田に接触を図る。
これが起承転結でいう起ですね。
出会いが青姦スポットでぶっかけがヒロインとのファーストコンタクトで始まる所が新井英樹作品っぽくていいですね笑
久保が所属するB4Mも童貞を拗らせまくっていて面白いグループになっています。
特にリーダーの拓がどんどん思想を先鋭化していき、三島由紀夫オマージュの勃ての会にまで発展します笑
服装からセリフまで全て三島由紀夫になぞっています笑
久保の隠された才能
漫画家志望と他人の生原稿を使い出版社で沢田と接触した久保は、沢田が担当している女性漫画家、羽鳥の所にアシスタントとして送り込まれてしまう。
偽原稿を見て久保にある程度作画能力があると見込んでアシスタントとして羽鳥に紹介した沢田だったが実際は全く画力がない久保。
ついにそれが羽鳥らにばれてしまい、性的に弄ばれる事に。
羽鳥らにいたずらを受けた際に久保の知られざる特技？が判明する。
それは異常な性欲、超早漏、そして無尽蔵な精力。
イってもイっても勃ち続け、触られただけで即発射。
その特異な能力の為を面白がられ性奴隷にされてしまう久保。
そんな中、偶然公園で出会った男に才能を見いだされる…
とてもヒーロー漫画の主人公の能力と思えない特殊能力ですが、これが後にとてつもない武器になります。
後継者、久保
羽鳥に犬の散歩を命じられた久保だったが羽鳥の愛犬ハナが放し飼いにされていたオス犬に犯されてしまう。
その光景さえも勃ちながら見ていた久保。
放し飼いの犬の飼い主は久保のその能力の片りんに気が付いた様子。
その後、羽鳥の愛犬ハナが妊娠している事が発覚。
罰として久保はAV男優のオーディションを受けさせられる羽目に…
性豪、巨根、異常性欲者、ベテランAV男優などの並み居る他の参加者を一切寄せ付けない実力を見せつけオーディションに受かる久保。
オーディションを主催していたのは伝説のAV男優、遊佐。
遊佐はある活動をしておりその後継者を探しているのだった。
このオーディションの流れが王道ヒーローものっぽいんですよね。
主人公の才能が見い出される流れが。
手を使わずに発射するという課題、通称念コキ。
他の参加者のリアクションがこの課題の難しさを語る中、久保は3分以内にイけますよと自信たっぷりな様子。
周りのライバルたちが絶対無理だと言う中、宣言通り3分以内でイってしまう久保。
そしてその能力を見いだされ合格する久保という流れが天才型の主人公っぽくてカッコいい笑
地球の真の支配者、クラウドとの闘い
久保を見いだした元AV男優、遊佐は日々、女性が寝ている家に夜な夜な忍び込みレイプするという活動を行っていた。
なぜそんなことをしていたのか？
それは地球を守る為だった。
遊佐に連れられ久保は都心の高級タワーマンションへと赴く。
そこにはこの地球の真の支配者クラウドと呼ばれるもの達の巣窟だった。
そこで遊佐の活動の真意が語られる。
宇宙には死後に魂が行き着く先があり、そこでは神のような存在が魂の再利用を行っており、死者の魂を精子のように加工し、地球に棲む女性に強制的に受精させ子を産ませる。
生まれてきた子供は高い知性を持ち、地球を裏から支配するクラウドという存在に仲間入りする。
クラウドはその高い知性と能力で地球社会に溶け込むどころか、政官財すべてを牛耳っており裏から世界を支配していた。
彼らの目的は人口削減。人類の生殖機能を失わせ、宇宙のバランスを保つことが使命と考えている。
遊佐たちはその受精を阻止しクラウドの誕生を防ぐため活動していたのだった。
受精を阻止する方法は、宇宙から飛来した精子を受精するその瞬間にレイプし人間の精子によって阻止するというものでした。
このクラウドに対して敵対する活動すらもクラウドの支配下によるものでした。
クラウドは生殖機能を持ちません。
生命として一世代で終わる事が宿命づけられたクラウドたちは、遊佐らスキャッター(散布者)達の妨害にも負けずに生まれてくるクラウドこそが自身の進化のカギだと捉え遊佐たちの活動をあえて支援していたのです。
遊佐が活動したとしても世界規模で行われるクラウドの誕生にはほとんど影響がないからこそ進化の為に支持していたのです。
圧倒的な戦力の差。久保もスキャッターとして遊佐とともに活動を行うようにクラウドに指示されます。
その見返りとして芸能人でも誰でも好きな女をあてがうとという報酬さえ提示されます。
一例としてそこには佐々〇希が呼び出されており、言う事を聞けばこの女とヤらせるというのでした。
超有名芸能人ですらこの扱いにできる圧倒的な組織力。
久保はこの現実を受け入れる事ができませんでした。
地球規模の支配者クラウド、突然のSF設定に読者はついていくのに必死です笑
なぜそれでも遊佐は戦うのか？
クラウドとの対面前、久保は無職である事で家族と揉めてしまい、家出し遊佐とともに暮らす事になります。
遊佐はエリという60歳過ぎの元ストリッパーの家に毎日通い、彼女を愛せと久保に命令します。
エリは団地に住み、荒れ果てた家で一日中外を見たまま自ら喋る事もありません。
遊佐の真意を理解できない久保は到底エリと向かい合う事ができませんでした。
通いつめ遂に遊佐の真意とエリの過去が明らかに。
エリはクラウドを出産した女性だったのです。
エリは当時突如妊娠した子供に身に覚えがありませんでした。
ただ妊娠発覚から逆算した際、身ごもったのは突然イったような感覚に襲われ気絶した不思議な日だったと語ります。
その日がクラウドを受胎した日でした。
エリは生まれた息子を可愛がり育てました。
その子供は高い知性を持ち小学校をあがる頃には高校の過程を修了するほどでした。
そして遂にクラウドに見初められ母であるエリを知能の低いバカだと言い彼女を捨てて出ていったのです。
愛していた息子に捨てられる母親。
世界中にエリのような不幸な女性がいて遊佐はそんな女性たちを少しでも救いたいと思い今の活動を行っていたのでした。
しかし遊佐は度重なる闘いの中、ついには不能になってしまいその後継者を探していたのでした。
ここから先は物語の核心的ネタバレを含むので未読の方ご注意を！！
是非読んでから見る事をオススメします！
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